4.制作現場を探索

職人の道具

想いを刻むための道具。
手ぼり技術を発揮させる、古より続く印章彫刻の道具たちを 印章作家滑川裕が 解説

篆刻台

篆刻台[てんこくだい]
「素材を固定して彫刻するための台です。置き型として使う人と、手に持って彫る人がいます。流派によっても使用法が違うんですよね」

傾斜台

傾斜台[けいしゃだい]
「傾斜をつけることにより目線を調整し、作業を楽にしてくれます」

印刀

印刀[いんとう]
「荒彫りをするための印刀は、ノミのような形をしています。彫る線の太さに合わせ、1番から5番で分類。当て木を使い、テコの原理で彫っていきます」

仕上げ刀

仕上げ刀[しあげとう]
「最終的に文字の線を仕上げる段階で使う刀です。粗彫りした文字を斜めに彫るため片刃の切り出し刀になります。この仕上げ刀で文字に命を吹き込みます」

砥草板

砥草板[とくさいた]
「印面の凹凸を調整し、平にする仕上げの道具です。私が使用するのは、単に紙やすりを貼ったものですが、天然の葉を貼ったものも存在します」

印褥 いんじょく

印褥[いんじょく]
「バレンを固定したものです。竹の皮を巻いたことで表面の凸凹を利用し、きれいに押印することができます」 

印泥

印泥[いんでい]
印泥は、普通の朱肉と違い特殊なもの。落款印などを押す時に用います。独特な固さに練ることで、鮮明な押印を可能にします」

印矩

印矩[いんく]
「押印時、位置を定めるために用いる印章専用の定規。かすれてしまった時にも、重ね押しの修正にも効果的な道具です」

筆

筆[ふで]
「墨筆および朱筆の筆があります。新しいものより、使用し馴染んだ筆の方が、筆先が細くなるため、使いやすい。ですから最初は紙に書いて馴らし、先が細くなってから印に使用します」

硯

硯[すずり]
墨用の硯と朱墨用の硯を使用しています。今使っている硯は故松崎秀夫先生にいただいたもの。朱墨用の硯は水牛の輪切り材を加工して使用しています。

手鏡

手鏡[てかがみ]
「印章ですから、文字を記す際には、当然、左右が反対になるため、手鏡で確認しながらの作業になります」

字書

字書[じしょ]
「篆書の筆耕や字源を調べるには複数の字典・字林を参考にします。主に用いているのは【新常用漢字印章字林】、業の先達・修行時代の先生方や仲間が英知を結集して編まれた字林を基本にしています」